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御曹院ハザマ日記 30:00~31:00

  • ひげまみれのらじ
  • 2022年1月20日
  • 読了時間: 1分





 ハザマでの御曹院は異能を持たないと自認しているが、厳密に言うならばそれは誤りだ。


 アンジニティ、及びハザマで御曹院が無意識下で行使しているため

 本人は自分の異能の一切を感知していない。

 能力というよりは、ほとんど性質と言ってもいいだろう。



欲の鏡



 他人の欲を読み取り、理解し、自身に反映する能力。

 イカボッドとして名付けられた個体が形を持つ以前、

 不可視でとても小さくて、弱くて、不安定な、

 自我を持たぬ彼らが寄り添い合い融合したのはこの性質に起因している。  


 融合する性質があったのではなく、寄り添いたいと互いに願う性質があるためだ。

 そうして物言わぬ小さな命のなり損ないは、群れをなし個になった。


 行き倒れていた隼田院の為に治療のための能力を得たこと。

 初めて姿をかたどった時、姿かたちが異形のものであったこと。


 イバラシティの御曹院の死の間際、

 彼に手繰り寄せられ彼ともまた融合したこと。



 これらの現象も御曹院の持つ性質に由来する。


 寂しがり屋の満たされない魂は、欠片を求めている。


 『誰かの望む自分』を手の届かない範囲まで叶えようとすることが、彼の異能だ。







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