御曹院ハザマ日記 29:00~30:00
- ひげまみれのらじ
- 2022年1月20日
- 読了時間: 1分
目が覚めた後、僕の環境は以前と少し変わっていた。
幼馴染ができていた。
ないはずの思い出も増えていた。
ほんの僅かに変わった世界は
一挙手一投足全てが値踏みされる好悪で良し悪しや優劣をつけられるばかりの世界でも
僕が恐ろしくて仕方がなかった世界でもなくなっていた。
ほんの僅かな瞬間の話だけれど。
僕はその僅かな時間、初めて安心できた。
僕は何一つとして変わっていないのに。
愚かだったと思う。
僕が自分で悩み、決断することなんて、いつだって愚かな誤りなのだと。
ただ終わりにしたいだけの毎日だった。
だから終わらせたのだ。
それだというのに"続き"をやり直してみれば
こんなにも、生きていたいと思えるのだ。
僕の環境をほんの少し変えてくれる誰かを探してみても良かったのかもしれない。
そんな無責任な他力本願をしたいと思えたかどうかは、わからないけれど、それでも。

僕の「御曹院シオン」以外の部分を引き出してくれた。
僕に「御曹院シオン」以外をくれた。
僕に、名前以外の居場所をくれた。
愛しい彼女たちの望む"僕"に、居場所の一つに、"僕"はなりたい。



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