御曹院ハザマ日記 5:00~6:00
- ひげまみれのらじ
- 2022年1月20日
- 読了時間: 4分
僕は御曹院シオン。
生まれはどこかわからないけれど、アンジニティから来た者だ。
この姿を得たのは大体3年前。
相棒の隼田院フリージアと出会ったのがきっかけ。
最近ハマっているものはイバラシティ。
あの世界の"僕"って、"僕たち"が1人の人間になっていて
それってつまり、僕が完成しているという感じがしない?
わかるかな。
あまり、自分の感覚を言葉にするのは得意じゃないけれど。
御曹院シオンは僕たちの完成形なんだ。
でもどうしてか、向こうの僕は"1人"しかいないくせに
二人目を作り出してしまっている。
どうしてってこともないんだけれど。
生きるってどうにも難しいらしい。
僕は、"シオン"の体験した記憶でしかそれを知らないけれど。
だって僕には"生まれる"ことのほうがよっぽど難しいことだったもの。
そうそう、生まれるといえば。
怨憎院死怨の方もついに生まれたね。
いやまあ…
その存在自体はずっとあったということになっているけど、
だ~れにも見つかってないんじゃあフリちゃんに見つけてもらう前の僕と同じだ。
そこに居たとしても、居ないことになる。
僕はまた、向こうでもフリちゃんに見つかった。
感謝してもしきれないね。
あ~んなもうひとりの自分…✞みたいなものを生み出さなきゃ
生きることにすら不便しているなんて、シオンってよっぽど真面目なんだね。
「それくらい当たり前の気遣いじゃないか」
「やりたいように、好きなことをすればいいじゃないか」
「他人の顔色なんて伺わなくたっていいじゃないか」
そう思ったよ。僕も、最初はね。
でもね、段々わかってきたんだ。
「やりたいことをしている」んだ。
嫌われたくない、嗤われたくない、呆れられたくない、荷物になりたくない
邪魔者になりたくない……
そういう気持ちって誰にでも少しはあるものだと思うけれど。
それがやがて『人の役に立ちたい』という気持ちになったりもするんだと
僕は思う。
もっと単純な話なのかもしれないけれどね。
でも少なくとも僕は、「タピオカの役に立ちたい」と思うもの。
タピオカ…じゃないや、フリちゃん。
フリちゃんにまで要らないなんて言われちゃったら、
僕は一体どうなっちゃうんだろ? そんなこと考えるのすら嫌だし、億劫だ。
そんなこと考えるよりは、どうやったら必要だと思ってもらえるのかを考えたいね。
つまり、シオンはそういう事ばっかり考えて、考えて
考えた果てに"ああ"なっちゃったんだ。
シオンにとって周囲に生きる人達のほとんどが、憧れの対象だ。
それが例え、表面しか見ていなかったとしても。
伸びやかに、或いは悩みながら自分のために生きて、誰かに愛されて、自分を愛している。
そんな生き方を、シオンはまるでしたことがない。
僕は、イバラシティのシオンのおかげで少し出来るようになったかな。
皮肉な話だけれど。
だからシオンにはわからないんだ。
愛されてきた人間が、或いは愛を欲している人間が、自分として生きている人間が、
どうすれば、どのように伝えれば自尊心を傷つけず、満足をしてくれるのか。
周りの人間が大好きでも
そうだと伝えることが迷惑になる可能性が見えてしまう。
だから好意を伝えるんだ。シオンなりに、一人一人に。
でも、あんまり伝え方が上辺を撫でるだけなものだから。
シオンの抱いている愛着の半分も、あるいは一滴すらも
相手には伝わらないね。
どうやったって返ってくるのは、上辺の愛着だけだ。
それに仮に、誰かに好意を伝えられても
その好意の先に自分が居ると思うことが出来ない。
だって、本当の自分なんて、もうひとりを別の場所に片付けちゃったなんてこと。
シオンですら知らないんだ。
シオンはきっと、あのままじゃ誰の特別にもなれない。
特別どころか、少しだけ大切にしたいと思えるような、そんな人にすらも。
シオンは、人の中に生きた証を残せない。
証を残すためには、家のために生きるしかない。
ああ、可哀想なシオン、嘘つきのシオン。
僕と同じで寂しがりやの君は、そんな人間になんて
絶対なりたくないはずなのにね。
きっと、可哀想な彼を救えるのは僕だけだ。
シオンと死怨の両方を持っている、僕が彼に成り代わるということだけ。
それを果たせたらそれってなんて最高だろう!
シオンの"否定されず、生まれ落ちることの出来た「ひとつの」肉体"
僕の"導きあって、融合することの出来た「ひとつの」精神"
この2つのいいとこ取りになれるというわけだろう?
夢のような世界!なんて素敵なんだろう!



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